AI のしくみ

プロンプトとは

プロンプトは、AI に渡す指示や質問の文章のことで、頼みごとのほかに背景の説明・資料・答え方の見本も含みます。目的や条件をはっきり書くと、ほしい答えに近づけやすくなります。

この記事でわかること

  • プロンプトが何でできているかを説明できる
  • システムプロンプトとユーザーのプロンプトの違いと、伝わる頼み方がわかる
  • プロンプトでは防げないことと、貼り付ける前に気を付けることを知る
目次
  1. プロンプトは何でできているのか
  2. システムプロンプトとユーザーのプロンプトは何が違うのか
  3. 伝わる頼み方はどう書くのか
  4. 資料を渡すとき
  5. 見本を見せるとき
  6. うまくいかないときはどう直すのか
  7. プロンプトだけでは防げないことは何か
  8. もっともらしい間違い
  9. 文章に紛れ込んだ指示
  10. 入力した情報の扱い
  11. まとめ
  12. mukumo では muku にどう頼めますか
  13. よくある質問

プロンプトは、AI に渡す指示や質問の文章のことです。「〜を書いて」という頼みごとだけでなく、背景の説明、もとにしてほしい資料、答え方の見本なども、まとめてプロンプトと呼びます。

AI のチャットは、同じことを頼んでも、伝え方によって返ってくる答えが大きく変わります。たとえば教室の案内文を頼むとき、だれに向けて、何を伝えたいのかを書き添えるだけで、そのまま使える下書きに近づきます。プロンプトの基本を知っておくと、AI に任せる作業の質を上げられ、頼み方では解決できない問題にも気づけるようになります。

  1. 目的を決める体験レッスンの案内文を作る
  2. 背景と資料を渡す読む人と、日程・料金の表
  3. 答えの形を示すです・ます、見出しなし
  4. 答えを確かめる日付や料金を資料と照らす
  5. 直して頼み直す足りない条件を書き足す
図目的を決め、背景と資料、答えの形を添えて頼み、返ってきた答えを確かめて、足りない点を書き足して頼み直す流れ

プロンプトは何でできているのか

プロンプトに入るものは、大きく次の 5 つに分けられます。毎回全部を書く必要はなく、頼みごとに合わせて足していきます。

部品 中身 例(ヨガ教室の案内文)
指示 してほしいこと 体験レッスンの案内文を書いて
背景 目的・事情・読む人 運動が久しぶりの人に、気軽に来てほしい
資料 答えのもとにしてほしい情報 日程・料金・持ち物の表
見本 答え方の例 前に評判のよかった案内文
答えの形 長さ・形式・口調 です・ます、見出しなし、短い段落

見本を付けずに頼むことをゼロショット、いくつか見本を付けて頼むことをフューショット(few-shot)と呼びます。見本は、言葉では説明しにくい口調や形を伝えるのに向いています。

AI はプロンプトを読み、その続きとして自然な文章を作っています。しくみは「大規模言語モデル(LLM)とは」で説明しています。書いていない事情を AI が察してくれることは期待できないので、必要なことは文章で渡す、と考えるとわかりやすいでしょう。

システムプロンプトとユーザーのプロンプトは何が違うのか

AI を使ったサービスの中では、プロンプトは 1 つではありません。大きく 2 種類あります。

システムプロンプト ユーザーのプロンプト
書く人 サービスを作る側 使う人
中身の例 「料理教室の受付として答える。予約の変更は電話番号を案内する」 「来週の土曜のクラスはまだ空いていますか」
利用者から見えるか 多くは見えない 見える
効く範囲 会話全体 その頼みごと

システムプロンプトは、AI の役割や口調、答えてよい範囲、守る決まりを、サービスを作る側があらかじめ渡しておく指示です。OpenAI の開発者向けの説明では「開発者のメッセージ」と呼ばれ、利用者の頼みより優先されると書かれています。同じ質問でも、サービスによって答え方が違うのは、このシステムプロンプトが違うことも理由の 1 つです。

ユーザーのプロンプトは、利用者がチャットの欄に入力する頼みごとです。会話が続くと、それまでのやりとりもいっしょに AI へ渡され、次の答えのもとになります。

チャットのサービスには、自分の仕事の説明や好みの口調を設定に書いておき、毎回の頼みに添えられるものもあります。何度も同じ前置きを書いているなら、こうした設定を使うと手間が減ります。

伝わる頼み方はどう書くのか

AI を、優秀だけれど、あなたの仕事の事情をまだ何も知らない新しい仲間だと考えると書きやすくなります。Anthropic の「プロンプティングのベストプラクティス」も、事情を知らない同僚に見せて迷うような頼み方は、AI にも伝わりにくいと説明しています。

頼むときは、次の点を書き添えます。

  1. 目的:何のために使うのか(「体験レッスンに来てもらうための案内」)
  2. 読む人:だれが読むのか(「運動が久しぶりの人」「取引先の担当者」)
  3. 条件:守ってほしいこと(長さ、入れてほしい情報、使わない言い回し)
  4. 形:表・箇条書き・メールの形など
  5. 理由:条件の理由をひとこと(「スマートフォンで読む人が多いので、段落を短く」)

たとえば、小さなデザイン事務所が問い合わせへの返信を頼む場合を比べてみます。

頼み方
伝わりにくい 「問い合わせへの返信を書いて」
伝わりやすい 「ロゴ制作の料金を聞いてきた初めての方への返信メールを書いて。下の料金表の金額だけを使い、ていねいだが堅すぎない言葉で。最後に打ち合わせの候補日を聞いて」

「〜しないで」だけを書くより、してほしいことを書くほうが伝わりやすくなります。「専門用語を使わないで」より、「Web にくわしくない人にもわかる言葉で」と書く、という具合です。手順の順番が大事なときは、番号を振って並べます。

資料を渡すとき

料金・日程・規約など、事実にかかわる答えがほしいときは、もとになる資料をいっしょに貼ります。「ここから資料」「ここまで資料」のように区切りをはっきりさせると、AI が指示と資料を取り違えにくくなります。

たとえば、オンライン講座の受講規約を貼って、返金についての問い合わせへの返信を下書きしてもらうとします。このとき「規約に書いていないことは、わからないと書いて」「どの部分をもとにしたかを添えて」と頼んでおくと、作り話が混ざりにくくなり、あとから人が確かめやすくなります。資料が多くて一度に貼りきれないときに使われるしくみは、「RAG(検索拡張生成)とは」で説明しています。

見本を見せるとき

見本を付けると、口調や形がそろいやすくなります。一方で、見本の言い回しをそのまま真似しすぎることもあります。違う場面の見本をいくつか見せ、「形だけ参考にして」と書き添えると、真似しすぎを防げます。

うまくいかないときはどう直すのか

一度の頼みで思いどおりの答えが返ってくるとは限りません。Google の Gemini の「プロンプト設計戦略」も、プロンプト作りは試して直すことをくり返す作業だと説明しています。次のような直し方があります。

  • どこが違うかを具体的に伝える(「もっとよく」ではなく、「言葉をやわらげて、半分の長さに」)
  • 足りなかった条件や資料を書き足す
  • 大きな作業を分ける(まず構成案を出してもらい、決めてから本文を頼む)
  • 会話が長くなったら、要点をまとめて新しい会話で始め直す(最初のほうの条件が答えに効きにくくなることがあるため)
  • うまくいった頼み方は、日付や相手の名前を空けた型にして残し、次から使い回す

同じ頼み方でも、答えの言い回しは毎回少し変わります。大事な文章は、1 回で決めず、いくつか出してもらって比べるのも 1 つの方法です。

プロンプトだけでは防げないことは何か

頼み方を工夫すれば答えはよくなりますが、プロンプトで解決できない問題もあります。

もっともらしい間違い

「正確に答えて」「間違えないで」と書いても、AI が事実と違う内容をそれらしく答えてしまう「ハルシネーション」はなくせません。AI は知らないことでも、続きとして自然な文章を作れてしまうからです。理由と減らし方は「大規模言語モデル(LLM)とは」で説明しています。事実にかかわる答えは、資料を渡したうえで、使う前に人が確かめます。

文章に紛れ込んだ指示

問い合わせのメールや Web ページを貼って「要約して」と頼むとき、その文章の中に AI への指示が書かれていることがあります。これをプロンプトインジェクションと呼び、頼み方だけでは確実には防げません。備え方は「AI エージェントとは」で説明しています。

入力した情報の扱い

「この内容は覚えないで」と書いても、入力したデータがどう保存され、何に使われるかは変わりません。それを決めるのは、サービスの規約や設定です。

  • パスワード・カード番号・API キーは貼らない
  • お客さまの名前や連絡先は、必要がなければ「A さん」のように置き換えてから貼る
  • 仕事で使う前に、入力がモデルの学習に使われるかどうかなど、データの扱いを確かめる

個人情報保護委員会の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023 年 6 月)も、事業者が個人情報をプロンプトに入れるときは、利用目的の範囲に収まっているかを確かめ、提供する事業者が入力を機械学習に使わないことなどを確かめるよう求めています。

まとめ

  • プロンプトは、指示・背景・資料・見本・答えの形を組み合わせた、AI への頼みごとです
  • サービスを作る側が渡すシステムプロンプトと、利用者が書くユーザーのプロンプトがあります
  • 目的・読む人・条件・形・理由を書き添え、事実にかかわることは資料で渡します
  • 一度で決めず、どこが違うかを具体的に伝えて直していきます
  • もっともらしい間違い、紛れ込んだ指示、データの扱いは頼み方だけでは防げないので、人の確認と、貼る中身の見直しで備えます

mukumo では muku にどう頼めますか

mukumo(ムクモ)の AI アシスタントの muku(ムク)には、右上の「muku に質問」から、ふだんの言葉で頼めます。画像を添えて聞くこともできます。muku は画面のデータを読んで答え、読むのはいまの組織のデータだけです。パスワード・API キー・カード番号を聞くことはありません。

サイトの追加やタスクの作成など、何かを変える頼みには、まず提案のカードを出し、「承認して実行」を押したときだけ実行します。話の中で分かった好みは「保留」として残り、設定の「パーソナライズ」の「メモリ」で同意したものだけを、次からの返答に使います。

いま使えるAI アシスタントの muku

よくある質問

プロンプトは英語で書いたほうがよいですか

多くの AI のサービスは、日本語の頼みにもそのまま答えられます。言語よりも、目的や条件がはっきり書かれているかのほうが大切です。答えの言語を決めたいときは、それも頼みの中に書きます。

「あなたはプロの編集者です」のように役割を書くと効果がありますか

役割を伝えると、答えの口調や観点をそろえやすくなります。ただし、役割を書いただけで、知らない事実を正しく答えられるようになるわけではありません。事実にかかわることは資料で渡します。

長いプロンプトほど、よい答えが返ってきますか

長さより、目的・条件・資料がそろっているかが大切です。関係のない情報が多いと、大事な条件が埋もれてしまうことがあります。

プロンプトエンジニアリングとは何ですか

ほしい答えが安定して返ってくるように、プロンプトを組み立て、試して、直していくことです。AI を組み込んだサービスを作る人がよく使う言葉ですが、ふだんの頼み方を工夫するときも考え方は同じです。

まずは、ひとつ任せてみませんか

登録はメールアドレスだけ。フリープランのまま、muku に話しかけるところから始められます。