AI のしくみ

音声認識とは

音声認識は、人の話し声をコンピューターが聞き取って文字にする技術です。しくみと、聞き取りの正しさが変わる理由を知ると、音声入力や会議の文字起こしを上手に使えます。

この記事でわかること

  • 音声認識が何をする技術かを説明できる
  • 音を文字にするしくみと、聞き取りの正しさが変わる理由がわかる
  • 録音を扱うときの注意と、上手に使うコツを知る
目次
  1. 音声認識は何をしているのか
  2. 音声認識はどう動くのか
  3. 音を数字の並びにする
  4. モデルが文字を選ぶ
  5. 話しながら文字にするか、録り終えてから文字にするか
  6. 聞き取りの正しさは何で変わるのか
  7. 正しさはどう測るのか
  8. 話し手の区別や句読点はどうなっているのか
  9. 録音を扱うときに気をつけること
  10. まとめ:上手に使うコツ
  11. mukumo では音声認識をどう使っていますか
  12. よくある質問

音声認識(ASR:Automatic Speech Recognition)は、人の話し声をコンピューターが聞き取り、文字にする技術です。スマートフォンの音声入力、会議の文字起こし、動画の字幕、電話の自動応答など、声を扱う多くの道具が音声認識を使っています。

とても便利ですが、音声認識はいつも正しく聞き取れるわけではありません。どんなときに間違えやすいのかを知っておくと、録り方を工夫したり、人が見直すべきところを見分けたりできます。

  1. 話す「来週の体験レッスンは空いてますか」
  2. 音を数字にする短い区間ごとの音の高さと強さ
  3. 文字を選ぶ前後の言葉から「体験」を選ぶ
  4. 形を整える句読点・数字・話し手を付ける
図話した声を短い区間ごとの音の特徴の数字にし、モデルが前後の言葉から文字を選び、句読点や数字の形を整えて文字にする流れ

音声認識は何をしているのか

音声認識がしているのは、「どんな言葉を話したか」を文字にすることです。たとえば、ピアノ教室の先生が移動中にスマートフォンへ「来週の体験レッスンは火曜の 4 時から空いています」と話すと、その言葉が文字になり、そのまま返信の下書きに使えます。

音声認識が受け持つのは、聞き取って文字にするところまでです。文字の意味をくみ取って返事を考えたり、要点をまとめたりするのは、大規模言語モデル(LLM)などの別のしくみです。声で話せる AI の多くは、音声認識で文字にし、LLM で返事を作り、音声合成で声にする、という組み合わせで動いています。

音声認識は、たとえば次のような場面で使われます。

  • オンライン講座の動画に字幕を付ける
  • 小さな会社の打ち合わせを文字にして、議事録の下書きにする
  • 手がふさがっているときに、メモやメッセージを声で入力する
  • 電話の問い合わせで、用件を声で聞き取って担当に振り分ける

音声認識はどう動くのか

音を数字の並びにする

マイクが拾った声は、空気の振動を記録した波です。音声認識はまず、この波を数十ミリ秒ほどの短い区間に分け、区間ごとに「どの高さの音が、どれくらい強いか」を数字の並びにします。人の耳の感じ方に合わせて高さの目盛りを整えたもの(メルスペクトログラム)がよく使われます。

モデルが文字を選ぶ

次に、ニューラルネットワーク(大量の例から学ぶ計算のしくみ)でできたモデルが、数字の並びから、いちばんありそうな文字の並びを選びます。かつては、音の特徴・発音の辞書・言葉のつながりをそれぞれ別の部品が受け持っていました。いまは、声と文字の組を大量に学んで、音から文字までを 1 つのモデルで扱う方式が広く使われています。

前後の言葉も手がかりになります。「きかん」という音だけでは「期間」「機関」「帰還」のどれかは決まりませんが、「申し込みのきかんは」と続けば「期間」だとわかります。また、日本語は同じ言葉を漢字・ひらがな・カタカナのどれでも書けるので、聞き取りは合っていても、思っていた書き方と違うことがあります。

話しながら文字にするか、録り終えてから文字にするか

音声認識には、大きく分けて 2 つの使い方があります。

ストリーミング(話しながら) バッチ(録り終えてから)
文字が出るとき 話しているそばから出る 録音を送ったあと、まとめて出る
向いている使い方 音声入力・生中継の字幕・声で話す AI 会議の録音・インタビュー・動画
気をつけること 途中の結果が、続きを聞いて書き換わることがある 結果が出るまで待つ

音声入力で、さっき出た文字があとから変わることがあります。これは、ストリーミングの途中の結果が、続きの音を聞いて直されるためです。

聞き取りの正しさは何で変わるのか

同じ音声認識でも、録り方や話し方で結果は大きく変わります。

変わる理由 起きやすいこと できる工夫
まわりの音 音楽や人の声を言葉と取り違える 静かな場所で話す
マイクとの距離 声が小さく、言葉が抜け落ちる マイクを口の近くに置く
電話の音・強い圧縮 音の情報が減り、似た音を取り違える できれば元の音質で録る
話し方・なまり 学習で少なかった話し方を間違える はっきり、少しゆっくり話す
専門用語・名前 よくある似た言葉に置き換わる 言葉を登録できる機能を使う
声の重なり 重なった部分が抜けたり混ざったりする 1 人ずつ話す

意外なところでは、録音するときの強い雑音の除去が、かえって聞き取りを悪くすることがあります。Google Cloud の音声認識の案内も、送る前の雑音の除去は一般に精度を下げるとして、マイクを話す人の近くに置くことを勧めています。

専門用語や名前には、よく出る言葉をあらかじめ渡して選ばれやすくする機能を用意しているサービスが多くあります。教室の名前や講座名、商品名を登録しておくと、取り違えが減ります。

正しさはどう測るのか

正しさは、人が書き起こした正解の文と比べて測ります。足された言葉(挿入)、抜けた言葉(脱落)、別の言葉になったもの(置換)を数え、正解の言葉の数で割った値を「単語誤り率(WER)」と呼びます。日本語は単語の間に空白がないので、文字の単位で数える「文字誤り率(CER)」もよく使われます。どちらも、値が小さいほど正確です。

間違いの種類から、原因の見当もつきます。抜け落ちが多いときは声が小さい、足された言葉が多いときは雑音やほかの人の声、置き換わりが多いときは専門用語、ということがよくあります。

話し手の区別や句読点はどうなっているのか

会議の文字起こしでは、誰の発言かで分けたいことがよくあります。これを話者ダイアライゼーション(話し手の区別)といいます。声の特徴の違いから話し手が替わったところを見つけ、「話し手1」「話し手2」のように番号を付けます。番号の人が誰なのかまではわからないので、名前は人が付けます。声の似た人どうしや、声が重なったところでは、区別を間違えやすくなります。

句読点は、話し声そのものには入っていません。句読点を付ける機能のある音声認識は、文の切れ目や言い方から「。」「、」「?」を推測して付けます。数字も、「さんまんえん」を「3万円」のように読みやすい形に直すことがあります。どちらも推測なので、金額・日付・電話番号は特に見直します。「えー」「あのー」のような言いよどみを残すか消すかは、サービスや設定によって違います。

録音を扱うときに気をつけること

声の録音や文字起こしには、名前や連絡先、相談の中身など、人に関わる情報がよく含まれます。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)でも、名前が入っているなどの理由で特定の人がわかる音声の録音は、個人情報の例に挙げられています。

  • 録音する前に、参加している人に伝える
  • 声をどこで処理するかを確かめる(端末の中か、インターネットの先のサービスか)
  • 録音や文字がモデルの学習に使われるか、どれくらいの期間残るかを、利用規約やデータの扱いの説明で確かめる
  • 録音と文字起こしを見られる人を絞り、要らなくなったら消す
  • パスワードやカード番号は、声に出して録らない

字幕に使うときにも注意が要ります。W3C(Web の標準を決める団体)の字幕についての案内は、自動で作った字幕は、すべて正しいと確かめたものでない限り、利用者の必要やアクセシビリティの要件を満たさないとしています。オンライン講座の動画に字幕を付けるなら、自動の字幕を下書きにして、人が直してから公開します。

まとめ:上手に使うコツ

音声認識は、話した言葉を文字にする技術です。聞き取りの正しさは、録り方と話し方で大きく変わります。

  1. 静かな場所で、マイクを口の近くにして話す
  2. 会議では 1 人ずつ話し、録音することを先に伝える
  3. 名前や専門用語は、登録できるなら登録しておく
  4. 金額・日付・名前は、文字になったあとに見直す
  5. 録音と文字起こしの置き場所・残す期間・見られる人を決めておく

mukumo では音声認識をどう使っていますか

mukumo(ムクモ)の AI アシスタントの muku(ムク)では、「話して入力」を押して話すと、声が文字になります。文字は送る前に直せます。受話器のボタンから「電話する」を選ぶと、muku があなたの声を聞き取り、声で返事をします。声の処理には外部の AI サービスを使い、muku が読むのはいまの組織のデータだけです。

会議の記録では、ブラウザで録音した会議を話し手ごとに文字にし、muku に要点をまとめてもらえます。会議の記録は、いまは試験中です。

いま使えるAI アシスタントの muku

よくある質問

音声認識と話者認識は何が違いますか

音声認識は「何を話したか」を文字にする技術で、話者認識は「誰が話したか」を声の特徴から見分ける技術です。声で本人かどうかを確かめるしくみには、話者認識が使われます。

方言やなまりがあっても使えますか

使えますが、学習に使われた音声に少ない話し方ほど、間違いが増えることがあります。ふだんの話し方で短く試してから、仕事に使うかを決めると安心です。

インターネットにつながっていなくても使えますか

端末の中で処理する音声認識もあり、その場合はつながっていなくても使えます。使える機能や言語は、機種や設定によって違います。

日本語と英語が混ざった話も文字にできますか

多くのサービスは、話す言語をあらかじめ指定して使います。言語が混ざると間違えやすくなるので、混ざる場面が多いときは、複数の言語を見分ける機能があるかを確かめます。

まずは、ひとつ任せてみませんか

登録はメールアドレスだけ。フリープランのまま、muku に話しかけるところから始められます。